彼女と義母と義妹と僕 その163

「ただいま・・」

ドアを開けて中に入った涼真はリビングに向かい覗き込んだ

「あ・・お帰りなさい・・お兄ちゃん」

ソファに座ってテレビを見ていた芽衣が振り返る

裕子はキッチンで晩御飯の用意をしていた

「お帰りなさい」

振り返る裕子の顏はややこわばっていた

「涼真さん晩御飯もうできるから・・」

そう言ってキッチンで用意をする裕子に

「あ・・すみません・・今日はいらないっす」

「え?・・食べないと・・」

再び裕子が振り返る

「いや・・あの今日は・・」

「そう・・」

「はい・・」

「用意はしておくわ・・食べたくなったら食べなさい」

「あ・・はい・・」

そのまま・・再び裕子はキッチンに向かうのを見た涼真は

「二人とも・・今日は応援、ありがとうございました・・負けて・・ごめん・・」

絞るように言葉を出す

「うん・・お疲れ様・・・」

芽衣がやっと言葉をだす

「いいのよ・・家族だし・・あ・・お父さんも見に来ていたのよ」

「あ・・はい・・」

「よくやったって・・言っていたわ」

「はい・・じゃあ‥今日は寝ます」

「ええ・・」

そう言うと涼真は二階へ上がっていく。

足跡が階段を上がったのを見て芽衣は立ち上がり、キッチンに入ってくると

「やっぱり食べないかな・・」

ぼそりと呟く

「そうね・・お腹空いてるでしょうけど・・そっとしておきましょう・・さ・・できたわ」

「うん・・」

そう言うと裕子と芽衣は食事を運び座る

「いただきます」

二人は無言で食事をする




「ふぅ・・」

部屋に入り鞄を降ろして扇風機を回すと

着ていたものを脱いで涼真はそのままベッドに横たわった

「く・・そ・・・」

目を閉じると悔しさがこみあげてくる

「悔しい・・な・・」

横を向きながら窓を見る

ブルブルとスマホが揺れる

手に取って開くと雅からLINEが入っていた

『涼真・・今日はお疲れ様・・ゆっくり休んでね・・

週末はあたし一人だし・・明日は家に来てね』

そのメッセージを見て涼真は

『了解、ありがとう おやすみ』

それだけを返してスマホを置いて体を丸める




「お兄ちゃん・・大丈夫かな?」

ぽつりと芽衣が発した言葉に裕子の箸が止まる

「え?どうして?」

ドキッとしたように芽衣を見るが芽衣は食事をしながら

「だって・・最後の試合でしょ?・・中学の時もやったし」

「あ・・そうね・・」

「今日は顔出したけど・・中学の時は荒れたやん」

「うん・・」

「今日はそのまま上がっていったけど・・顔色悪かったし」

心配そうに言う芽衣に裕子は

「そう・・ね・・お母さんも運動部やなかったから・・わからないけど」

「悔しいんやろうね・・」

「そうね・・今日はそっとしておいてあげましょう・・芽衣も食べたらお風呂入って寝なさい」

「うん・・」

そう言うと二人は無言で食事を進めていくが、ほとんど味を感じられないでいた

『これからどうなるのかしら?』

不安がよぎる中、ご飯を口に運びながら裕子は考え込んだ

「お母さん?」

芽衣の声にハッとなった裕子は芽衣を見る

「どうしたん?」

心配そうに見る芽衣に裕子は

「ううん・・なんでもないわ・・今日は涼真さんをそっとしておいてあげましょうね」

「そうやね・・」

そう言うと二人は再び箸をすすめた

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