彼女と義母と義妹と僕 その155

ひとしきり泣き続け部室の中でしゃがみ込んでいた

涼真はやがてゆっくりと立ち上がると涙を拭くと部室をでるとゆっくりと歩き出した

そのまま体育館をでたとき

涼真の足が止まる

「け・・健・・」

階段に座り、うなだれている健一郎を涼真はじっと見つめる

『す・・すまんな・・健・・』

拳を握りながら何度も何度もその言葉を繰り返す・・

やがて顔を上げた健一郎を見た涼真はゆっくりと歩きだす

「健・・」

涼真の声に健一郎が振り返る

「涼真」

涼真を見て立ち上がる健一郎に

「遅くなってすまんな・・またして・・わるい・・」

涼真は言葉少なめに言うと健一郎は

「ああ・・ええよ・・いこか・・」

「ああ・・」

健一郎が涼真の鞄をとって渡す

「サンキュウ・・行こうか・・」

「ああ・・」

そのまま二人は歩き出す

「終わったな・・」

ぽつりと健一郎がこぼす

「ああ・・」

前を見て歩きながら涼真が短く答える

「健・・・9年・・ありがとうな」

涼真の言葉に健一郎は涼真をちらっと見ながら

「はぁ?何をゆうてんねん」

「いや・・無理やり突き合わせてたかなってさ・・」

「はは・・それはないよ・・こっちこそ・・ええ思い沢山したしな」

「そうか・・」

「でも・・これで終わりって・・なんかな・・・」

「そうやな・・」

歩きながら涼真は校門を見る

「おい・・健・・あれ・・・」

涼真が校門のところで待っている雅と葵を見つける

「あ・・」

健一郎もなんとなく気まずい顔をしながら歩き出す

「待ってたんかな?」

健一郎の言葉に涼真は

「ああ・・悪いことしたな・・・」

「ああ・・」

言いながらすこし速足で二人は校門に向かった

「あ・・先輩・・」

葵が二人を見つけて手を振る

座っていた雅は立ちあがると葵のとなりに立って二人を見る

守衛に鍵を預けた涼真は

「あ・・あの・・今日で俺達・・引退です・・」

守衛に声を掛ける

「え?そうなのか?・・」

「はい・・すみません‥負けてしまいました」

「そう・・そりゃ・・」

「だから・・今度から二年が鍵を・・」

「そうかいそうかい・・でも‥いつでもおいで・・二人は顔パスやし」

その言葉に二人を顔を見合わせると守衛に向かい

「三年間ありがとうございました」

頭を下げる

「ああ・・お疲れさん・・ほれ・・二人が待ってる・・行きなさい」

守衛の言葉に顔を上げると

「はい・・では・・さようなら」

「はい・・さようなら」

そう言うと二人を校門を後にし、雅と葵のもとに寄る

「お疲れさん・・・すんだか?」

雅の言葉に涼真は

「ああ・・」

短く答える。

「お疲れ様でした」

葵の言葉に健一郎が頭を掻きながら

「ごめんな・・待たせたかな?」

「いえ‥大丈夫ですよ」

葵が笑顔で健一郎を見る

「あ・・ごめん・・勝てなくて・・」

その笑顔にすまなさそうに健一郎が答える

「あ・・でも・・1回戦は勝ったし」

「そやそや・・」

雅が葵の言葉に同調する

「ほな‥行こうか・・」

「うん」

涼真の言葉に雅が答える

「健?」

歩こうとする涼真は健一郎を見る

「あ・・涼真・・悪いが・・おれ・・今日はこのまま帰るわ・・」

健一郎の言葉に涼真は

「そうか・・じゃあ・・」

「うん・・」

「ゆっくり休めよ・・健・・」

「ああ・・」

「あ・・ありがとうな・・」

「おう・・」

そう言うと健一郎は歩き出す

「田中・・ついて行ったり・・」

ぼそりと雅が言いながら葵を押す

「はい・・では失礼します」

健一郎に追いついて並びながら歩き出す二人を

涼真と雅は見送った

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