彼女と義母と義妹と僕 その154

学校に帰って来た涼真たちを顧問は体育館の前で待っていた

「お・・帰って来たか」

「はい」

「よし・・荷物を片付けてくれ」

そのまま無言で一年生は荷物を持って体育館に入っていった

その様子を涼真たちは見ながら立ち竦む

言いようのない空気の中、だれひとり言葉を発しなかった

暫くすると一年生が全員出てきて整列する

それを見ながら顧問が口を開く

「よし・・終わったな・・今日はお疲れ様やったな」

「はい」

「うん・・今日は帰ってゆっくり休め!!」

「はい!!」

「よし!!解散!!」

「ありがとうございました!!」

全員が頭を下げた。

部員たちが顔を上げたのを確認して

「山口!!鍵を頼む」

「あ・・はい・・」

「じゃあ・・」

「お疲れ様でした」

顧問はそのまま車に乗り、走り出す

それを見送ると涼真が口を開く

「じゃあ・・みんな・・解散や・・」

「あ・・はい・・」

「おれは部室の戸締りみてくる・・ゆっくり休めよ!!」

「はい!!」

そう言うと涼真は部室に向かっていく

「あ・・」

良樹が声を掛けようとしたがその言葉を飲みこむ

それを察した健一郎は

「良樹・・ちょっと涼真を一人にしてやってくれ・・」

「あ・・先輩・・」

「ほら・・お前らも帰れ!!」

「で・・でも・・」

「ええからええから・・涼真は俺が待ってるし・・」

健一郎の言葉を聞いて部員たちはすごすごと引き上げていく

「あ・・良樹、みんな・・」

健一郎の言葉に全員が振り返る

「ありがとうな・・お疲れ様」

その言葉に・・浩太の目から涙が再び溢れ出す

「は・・はい!!」

全員が健一郎に向かって頭を下げる

「ありがとうございました!!」

「お前らの気持ち・・ちゃんと涼真に伝えとくから」

顔を上げ、全員がそのまま校門へ向かっていく

その様子を見ながら健一郎の目から涙が溢れる

体育館の階段に座り込み顔を両手で覆い

体を丸めて嗚咽した

「う・・・うぅ・・あ・・」

気丈に振舞い続けて帰って来たが・・

張り詰めていた糸が切れたように感情が溢れ出す




部室を開けて中に入った涼真は周りを見回す

窓が閉まっているのを確認すると

自分のロッカーにもたれかかり周りを見回したとき

涼真の目から涙が流れる

「く・・くそぉ・・・ちきしょ~」

ロッカーに拳をたたきつけしゃがみこむ

「う・・うぅう・・・あ・・ああぁぁぁ・・・」

誰はばかることなく涼真は声を上げて泣いた

「あ・・あああ・・」

誰もいない部室に涼真の嗚咽だけが響いた

コメント

非公開コメント