彼女と義母と義妹と僕 その152

「ひっく・・う・・うぅ」

堪えきれず嗚咽を漏らす葵に雅は

「田中・・さ・・行こう・・」

ハンカチで目を抑えながら葵はゆっくりと立ち上がる

「先輩・・悔しい・・」

葵の言葉に雅は目を潤ませながら

「うん・・うん・・でもな・・あたしたちより・・もっと・・あいつらは・・」

雅の瞳から涙がこぼれる

「先輩・・」

ゆっくりと階段を上がるとそのまま通路に出て歩き出した二人は

体育館を出ると階段を降りる

降りたところで涼真たちを見つけた

「あ・・先輩たち・・」

葵の言葉に雅は立ち止まるが

「行こう・・見てはいけないよ・・」

言いながらそそくさと階段を下りていく

ロビーに出ると

「ここで・・待ってよ・・」

「あ・・はい」

そのまま二人は自販機の前で待っていると

「あら吉田さん」

「あ・・先生」

声を掛けて来たのは担任の武田都だった

「先生も応援に?」

「ええ・・家が近いからって誘われてね・・」

「そうですか・・」

「ええ・・残念だったわね・・」

「あ・・はい・・」

横で涙を拭いている葵をちらっと見ながら都は

「じゃあ・・あたしはこれで失礼するわ・・」

「あ・・はい・・」

「じゃあね・・」

「はい・・」

そう言うと都は体育館を出ていった

「先輩あれって武田先生ですよね?」

「あ・・うん・・担任やしな・・」

「そうでしたね・・」

「なんか飲もうか?」

「はい・・」

言いながら二人は自販機で飲み物を買うとあいた座席に座る

「ちょっとは落ち着いた?」

ジュースを飲みながら雅は葵に聞く

「あ・・はい・・」

「先輩は・・あんまり泣かないんですね」

葵はジュースを握りしめ雅を見る

「あ・・いや・・涙は出るよ・・涼真と健一郎が負けるとな」

「はい・・」

「田中には悪いけど・・あたしは中学からあいつら見てるから」

「ですよね・・」

「でも・・自分もさ・・大会負けたりしたら悔しいやん」

「はい」

「いつやったかな・・泣いてたら・・あいつら・・次勝てばいいやんってゆうんや」

「はい」

「涼真も健一郎もな・・負けて悔しいのは判る・・からって」

「はい・・」

「でもな・・今回は・・な・・最後やったやん・・」

「はい・・」

「あと一歩やった・・やん・・」

「はい・・」

言いながら葵の目に再び涙が溢れる

「やっぱり・・勝ってほしかった・・勝たせて・・あげたっかった」

そこまで言うと雅は口を手で押さえた

「う・・うぅう・・」

押さえていた気持ちが一気に溢れる

「く・・う・・うう・・」

葵はこぼれる涙をハンカチで押さえながら

二人は声を殺して泣いていた

一しきり泣いた二人は涙を拭くと

「なんて声を掛けたら・・」

葵の言葉に雅は

「そうやな・・ま・・帰りまでに考えよう・・・」

「はい・・」

そう言いながら二人は涼真たちが降りてくるのも座って待ち続けた

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