彼女と義母と義妹と僕 その143

明の横に他人のふりをして立った尚子は

「息子さん、厳しいですね・・・」

周りには聞こえないような声で呟く

「そうだな・・まあ・ちょっと厳しいかもな」

ぼそりと明は呟く

「部長・・この後は?」

「ああ・・試合が終わったらそのまま東京に戻るよ・・」

「判りました・・では、私は新大阪駅で待ちますね」

「ああ・・」

尚子の言葉にコートを見つめたまま明は答える

ちらっと裕子の方を見る。内心ドキドキだった




「さあ、ここから取り返すぞ!!」

「はい!!」

気合を入れて臨む涼真たちは2Qから積極的に攻める。

前の試合で見せた涼真や良樹と健一郎のコンビプレーも

相手のディフェンスに阻まれて中々得点にはつながらない

「くそ!!」

健一郎がこぼれたボールに必死に跳びつくが相手のセンターとガードに

挟まれリバウンドがなかなか取れない

「健!!気にするな!!次や!!」

涼真の声に健一郎も必死でボールを追う

「守れ!!」

懸命に守る涼真たちをあざ笑うように相手がディフェンスを切り裂く

「あ!!」

相手のシュートが決まる・・ここで笛が鳴る

「タイムアウト・・白」

ちらっと得点を見た涼真は悔しそうな表情をする

「ふぅ・・・」

ベンチに座り水を飲む涼真たちに顧問が

「ちょっとプレーが雑になってるぞ!!決められるのは仕方ない、しかし1本1本確実に返していこう」

「はい・・」

「それとマークが外されやすい・・特に浩太と良樹・・しっかりつけ」

「はい・・」

「健一郎!!リバウンドはなんとかしろ!!ええな!!」

「はい」

「よし、まだまだや・・ええな・・」

「はい!!」

全員が返事と共に立ちあがる




「36vs12・・ジリ貧やな・・」

雅のつぶやきに葵は心配そうに健一郎を見る

「バスケは無失点はあり得ないスポーツや・・ゆうたら点の取り合いになる」

「はい・・」

「いかに外さないように決めて相手を止めるか・・それやけど」

「はぁ・・」

「今回は自分らは決まらん、リバウンドも取れん・・けど、相手は決める」

「はい・・」

「このままでは点差は開く一方やな」

「な・・なんか手は?」

「それは・・」

やや、諦めかけた口調の雅をムッとしながら葵が見る

「まあ・・これからが見ものかな・・諦めてないからな」

「はい!!」

そう言いながら二人はコートを見つめる




ピッと笛がなり試合が再開される。

『ふぅ・・なんとかするか』

頭の中で涼真は呟きながら良樹にパスを出す

「良樹!!」

そのパスを受け一気にドリブルで相手をかわそうとするが

相手もなかなか突破させてはくれない・・

ふっと涼真は横にパスを出す

そのパスを受けた太一がそのままシュートする

「ちっ」

相手の舌打ちが聞こえた時、ボールがゴールに吸い込まれる

「よし!!」

小さくガッツポーズする太一の肩を涼真は軽くたたく

「サンキュウな・・太一」

「先輩!!勝ちましょう!!絶対!!」

太一の言葉に涼真は

「ああ!!」

答えながら顔を上げ走り出す

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