彼女と義母と義妹と僕 その140

「芽衣!!」

裕子が芽衣に声を掛けると芽衣と真由が同時に声の方向を見る

「あ・・お母さん・・」

「こんにちは・・」

真由の声に裕子は

「こんにちは真由ちゃん、芽衣がいつもお世話になってます」

「いえ・・こちらこそ・・」

言いながら芽衣の隣に座る裕子に芽衣は

「場所判った?」

前を見ながら裕子に聞く

「あ・・うん・・ここは行ったら雅ちゃんがいてここまで連れてきてくれた」

「あ・・・そうなんや・・」

「うん・・で・・試合は?」

「この次や・・」

「そう・・間に合ってよかったわ・・」

言いながら裕子も前の試合をみる

ピっと笛が鳴ると両チームがベンチに引き上げる

「あ・・出てきたで、芽衣」

真由が指さす

「うん・・」

第三ピリオドまでの間のアップに涼真たちが現れた

「え?あ・・あれって・・芽衣?」

「え?」

裕子の声に真由と芽衣は裕子の見ている方向を見る

裕子が見ていたのは相手のチームだった

「あの子たちって確か・・小学校・中学校で戦ったことあるんじゃ」

裕子の言葉に芽衣は相手をじっと見る

「あ・・」

思わず芽衣は口に手を当てる

「ね?」

裕子の言葉に芽衣は頷いた

「あの~相手をご存じなんですか?」

真由が不思議な顔をして裕子を見ながら聞く

「あ・・うん・・真由ちゃんは高校からやから知らんやろうけど」

裕子は相手を見ながら

「涼真さんと健一郎君は相手のチームの何人かと戦ったことあるのよ」

「そうなんですね・・」

興味津々な表情で裕子を見ながら聞きいる真由に裕子は

「小学校・中学校・・一度も勝てなかった」

呟くように言う裕子に真由は

「たしか・・相手って来た時、試合してました・・」

「そう・・」

二人会話に挟まれながら芽衣は不安そうにコートの涼真を見る

「さて、あたし、トイレ行ってくるわ」

「あ、はい、場所取っておきますね」

「お願いね、真由ちゃん」

裕子はそのまま立ちあがると後ろに座って観戦している女性にお辞儀をして席を離れた

お辞儀をした女性は裕子の背中をみながら

「あれが・・奥さんなのね・・部長の・・そしてこの子が・・」

前を向いている芽衣を見ながら尚子は聞こえないように呟いた




「よし、アップ終了・・・あがれ!!」

涼真の声に全員がボールを手にコートに並び一礼して

コートを後にした

「涼真・・あれ・・」

健一郎の言葉に涼真は相手を見る

「ああ・・」

「今日こそは・・かな?」

相手を睨む健一郎の肩を叩いて

「やな・・行こうか・・」

涼真はそのまま・・扉をでる・・




「あ・・裕子!!」

トイレから出た裕子は声のする方向を見る

「え?あなた?どうしたの・・」

「いや・・今日、涼真の試合って言ってたから見に来たんや・・まだ?」

「ええ・・これから・・」

「そうか・・上がろうか・・」

「うん・・」

エレベーターに入ると裕子は

「言ってくれたらよかったのに・・」

「いや・・試合見たら東京帰るからさ・・明日、ゴルフあるし」

「そう・・泊まれてたら・・よかったのに・・」

残念そうな顔をする裕子に明は

「ほんまはそっと見るつもりやったしな・・涼真には内緒で・・おれは上からこそっと見るわ」

「そんな・・芽衣もいるし・・」

「いや・・ええよ・・」

「そう?」

裕子の顏が曇る

「はは・・またゆっくり帰ってくるさ・・」

「うん」

エレベータをでた二人は体育館の中に入ると

明は裕子に

「じゃあ・・俺はこのへんどっかで見るわ」

「ええ・・帰りは駅まで送るわね・・」

「ありがとう・・たすかる」

そう言うと明から離れて裕子は芽衣のもとに戻ると

「芽衣・・お父さん来てるよ」

「え?どこどこ?」

慌てて芽衣は周りを見る

「離れて見るからって・・あ・・帰り送っていくから・・」

「そうなんや・・」

離れたところで芽衣と裕子を見た明は思わず目を大きく開く

「え?なんで?」

慌ててスマホを取り出し尚子とのラインを開く

『見つけた?』のメッセージを見て明は裕子と芽衣の方を見ると

『どうしてここに?』と打つが既読が付くだけで返事はない

スマホを握りながら明は尚子を見つめた

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