彼女と義母と義妹と僕 その81

「よ~し今日はここまでや・・・集合!!」

涼真の声に部員たちが集まる

「おつかれ・・もうすぐ試合やしみんなしんどいやろうけど頼むな!!」

涼真の声に続けて

「あ・・あぁ・・みんな・・がんばろな・・」健一郎が発した言葉に

みんな思わず吹き出した

「な・・なんや・・みんな?・・」

二年生の一人が

「いや・・だってぇ・・ガラじゃないっすよ~」

「おい・・」

ムッとする健一郎に

ひとりの二年生が顔を上げ

「おれたち・・精一杯お二人について行きます!!よろしくお願いします!!」

その声に全員前を向いて頭を下げる

「ああ・・頼む!!お疲れ様!!」

涼真の声に「お疲れ様でした!!」と答え全員が片付けと掃除を始める

「おい・・健・・」

涼真が健一郎に寄って言って

「このあとちょっと付き合ってくれんか?」

「練習か?」健一郎がボールを取りにいこうとすると

「いや・・今日は居残りはなしや・・」

「あ?ああ・・」

不満そうな健一郎に「いくで・・」と涼真が促した

部室に戻り着替えると

「お先です!!」「失礼します・・」と部員たちが出ていく

「さて・・帰るか・・・健・・」

「ああ・・」

ロッカーを閉じて部室を出ると鍵をかけ歩き出す

「なあ‥涼真・・なんやねん今日は?」

「ああ・・まあ・・ちょっとだけな・・付き合ってほしいんや」

それ以上言わず涼真は校門に向かう

健一郎もそれ以上は聞かないこういう時は涼真は何も言わないのを知っているからだ

校門のところで守衛に鍵を渡すと「ありがとうございました」とふたりは頭を下げる

「ああ・・お疲れ様・・彼女・・待ってるよ・・」と守衛が顔を向ける

「はい・・では・・」

短く答えた二人はもう一度頭をさげると校門を出ると雅が待っていた

「おう・・お待たせ・・」

「二人とも遅いで・・」

「ああ・・すまんすまん・・行こか・・」

その声に三人が並んで歩き出す。時々雅がちらっと健一郎を見る

「ん?なんや・・?」気付いた健一郎が雅に聞くと

「なんでもないよ・・」

「あ・・お邪魔かな?」

「もう・・そんなことないよ・・あほやな・・」

笑いながら三人が歩く

「そうやお茶・・」

「ああ・・」

そのまま涼真が走ってコンビニに入る。その様子を見ながら健一郎は

「なあ・・雅・・涼真・・いいやつやな・・」

「なによ・・急に・・」健一郎の言葉に怪訝な顔をして見ながら

「あんた・・熱でもあるんか?」雅が笑い飛ばす

「いや・・いつも思うんやあいつありがたいなって」

真剣な言葉に雅の笑みが消える

「そうやな・・いつまでも友達でいたいなぁ・・」

「お前は彼氏としてやろ?」

健一郎の返しに「もう!!」雅が笑う

「おまたせ・・」涼真がペットボトルを3本もって出てきた

「ほら‥健・雅・・」それぞれにペットボトルを投げる

「さんきゅう!!」「ありがとう・・」

二人は受け取ると歩き出し公園に向かった。

公園に入ると雅がベンチに座るとペットボトルを開ける

「すわらんの?」雅の問いに「ああ・・ええわ・・」涼真と健一郎が答える

一口飲むと健一郎は「で・・話ってなんや?」真剣な面持ちで二人に聞く

涼真は雅の顔をみて促すように合図すると雅が口を開く

「あんな・・健・・あんた・・今日、うちの部の子とぶつかったやろ?」

「ああ・・あの子、大丈夫やったか?」

「うん・・大したことない・・」

「そうか・・よかった・・」

「その子田中葵って言うねんけどな・・あんた・何言ったんや?」

雅の言葉にドキッとして健一郎が見る

「いや・・コンタクト落としたから・・その時・・」

「その時~?」雅が立ちあがり健一郎に一歩寄る

「いや・・その・・眼鏡の方がいいでって似合ってるでって言った・・はぃ・・」

雅の迫力にしどろもどろに答える健一郎に

「おい・・雅・・」涼真が止めに入った時

「ああ・・それでか・・」雅は下を向いて呟く

「なんや・・なんかあったんか?」慌てて聞く健一郎に

「あの子な・・眼鏡かけたまま走るのどうしたら?って聞いてきたんや」

「え・・そうなんや・・」

「ただ・・陸上はコンタクトも眼鏡もせん方がいいねんけど・・あの子はコンタクトしてやってるからそのままの方がええんや」

「そうか・・すまん・・いらん事をゆうたんやな・・俺」

下を向く健一郎に雅は

「まあ・・それはええよ・・ところであんた田中の事どう思うんや?」

「どうって?・・なんや?」

答えに迷う健一郎に雅は

「あの子彼氏おらんよ・・それにな・・」

「健のこと気になるってゆうとったわ・・」

「え??」一瞬何が起こったかわからない様子の健一郎に雅が続ける

「いや・・さっきの話のついでにな・・田中がいつもあたしら三人でいるから・・」

「う・・うん・・・」

「健に彼女おるんかな~って聞くからな」

「うん・・おらんで絶賛募集中やって言っといた」

「ぷっ」涼真が吹き出しそうになる

「なに?涼真!!」雅の目に「いや・・絶賛っておまえな~」

「で・・聞いたんや好きなんか?ってそしたら・・」

「そしたら?」二人が雅を見る

「そしたらな・・・・頷きよったわ~あ~はははは」

雅の笑い声にぽかんとしながら涼真と健一郎が顔を見合わせる

一笑いした雅が健一郎に

「だからな健・・思い切って付き合ってみたら?」

雅の言葉に「え・・え~??つ・・つきあうって??え~??」

動揺を隠せない健一郎に涼真が

「よかった~雅・・お前性格ワルやな・・」

チャカす涼真に「うるさいわ・・」プッと頬を膨らませながら

「まあ・・すぐとは言わんでもこれから話くらいはしたりぃや・・」

「ああ・・・」顔をほころばせながら答える健一郎に

「あ・・ついでに、健がいつも通る道教えといたから・・明日から来るかもね」

「え・・えぇ??そんな・・」

いきなりの展開に再び動揺する健一郎に

「ええか?健・・付き合うならちゃんと付き合い・・あの子は目立たんけどいい子や判ったか?」

雅がダメ押しする

「まあ・・一晩どうするか考え・・あたしの話は終わりや・・あ・・こんな時間・・帰らんと」

時計を見て立ち上がると鞄をもって雅は

「ごめん・・今度ゆっくりな・・」

そのまま走り出す雅を見送ると二人は顔を見合わせ笑い出す

「よかったな・・健」

「あ・・ああ・・でも・・ええんかな俺で・・」

「なにゆうてんねん・・大丈夫やって・・」

涼真の言葉に「そうかな~」と不安と歓びが入り混じった表情をする健一郎に

「自信持てって・・大丈夫やって」

「う・・うん・・」

健一郎を見ながら「ほな・・いこか・・・」

そう言うとペットボトルをゴミ箱に入れると涼真が歩き出した

「ああ・・」健一郎も後に続くと

「じゃあ・・ここでな・・」

「涼真・・ありがとうな・・」

「ええよ・・きにすんなや・・それより・・がんばれよ・・・」

「ああ・・」

そう言うと二人はそれぞれの家路についた

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