彼女と義母と義妹と僕 その76

午前の授業が終わると

「涼真・・めしは?」

「ああ・・これや・・」

健一郎の声に涼真が鞄から袋を出す

「なんや・・弁当は?」

「ああ・・今日はなくてな・・」

「そっか・・じゃあ・・行こか」

そう言うと教室を出た健一郎の後を涼真が追いかける

体育館の階段で二人は腰を下ろしコンビニの袋からパンを出すと無言で食べ始める

「はぁ・・・」深いため息をつく健一郎に

「どうした?」食べ終わった涼真がペットボトルを口にしながら聞く

「いや・・なんでもないさ・・・」

遠くを見ながら答える健一郎に

「そうか・・・」

短く答えると立ち上がり体育館に入るとボールをボールを取り出してくる

「健・・やるか?」

涼真を見ながら健一郎は

「いや・・今日はやめとくわ・・・」

「そうか・・・」健一郎の答えに一言かえすと涼真は再び体育館に入る

体育館からでると座り込んだままペットボトルを口にした健一郎の横に座る

「なんか・・あったか?」

涼真の問いに健一郎は涼真を見ることなく

「いや・・涼真が羨ましくってな・・」

「ああ?なんでよ・・」

意外な健一郎の言葉に涼真はびっくりする

「勉強できるし、バスケ美味いし、可愛い妹と彼女いて・・」

「なんやそれ?」

「俺のないのん全部もってるしなって」

いつになく真剣な表情で語る健一郎に涼真は立ち上がり階段を降りると

「おまえな~熱でもあるんか?」

健一郎を見ながら涼真は呆れた顔で言った

「時々な・・羨ましいなってなるんや・・」

やや寂しげな表情で涼真を見る健一郎に

「あんな・・持ってるったってそれは・・」

「ああ・・わかってる・・でもな・・雅と付き合いだしてちょっとうらやましいんや」

健一郎が空を見ながら答える

「そうか・・すまん・・・」

「ええんや・・・あ~あ・・おれも彼女ほしいな・・・」

ふと呟く健一郎を見て

「でも・・無理かな・・」諦めがちに言う健一郎に

「でも・・それってな・・お互いに好きでないとあかんやん」

「まあ・・な・・・」

答えながら健一郎が立ちあがる

「そのうちできるかな?」

「ああ・・」

言いながら体育館を後にして廊下を歩き出した二人は校舎に入り教室に向かう

階段をあがった所で健一郎は

「今朝の練習したやつ・・もうちょっとやな・・」

言いながらシュートの真似をしながら

「ああ・・健・・かかと浮かしといたほうがいいかもな・・」

少し前を行く健一郎に涼真がいった瞬間「きゃっ」という声を二人が聞いた

「あ・・ごめん」よろけて倒れた娘をみて健一郎が

「おい・・大丈夫か?」と声を掛けながら散らばった教科書とノートを拾う

「あ・・すみません・・あたしが慌てていて」

答えながら起き上がる娘に手を伸ばしながら健一郎は

「ええよ・・おれもよそ見していたし」と拾ったノートを渡すと

「あ・・ありがとうございます・・え・・あれ?コンタクト??え・・えぇ?」

慌てるその子をみながら「どうした?」涼真が聞くと

「コンタクト・・おちた・・」

短く答えるその子に健一郎はしゃがみ込んで廊下を見る

涼真も同じように屈んで探すと

「あ・・あったわ・・これか」健一郎の声にその娘が近づき

「あ・・これです・・よかったぁ・・・」

「ああ・・よかったな・・・」

コンタクトをしまい、眼鏡を取り出して掛けて顔を上げると

「え・・星野先輩?」びっくりした表情で健一郎を見る

「ああ・・どうした?」

「い・・いえ・・ありがとうございました・・」

「なあ・・なんで眼鏡とコンタクトもってるんや?」

健一郎の問いにうつむき加減に「あ・・これは・・」

「健・・先いくわ・・」涼真の言葉に「ああ・」と一言返すと

二人は教室に戻る涼真をみながら

「みんなが・・コンタクトのほうがいいって言うからしたんですが慣れなくて」

その言葉を聞きながら健一郎は

「ふ~ん・・眼鏡とってみ?」興味深そうに言う

「はい」眼鏡をはずして健一郎を見上げる

「かけてみ・・」表情を確認した健一郎がもう一度言う

「はい・・」眼鏡をかけて再びみると

「やっぱりな・・」

「え・・なんですか?」

怪訝そうに聞く言葉に

「ああ・・君ずっと眼鏡やったやろ?」

「はい・・」

「眼鏡に慣れてるから眼鏡の方が表情がいい・・俺はその方がすきやな・・」

じぶんでも驚くような言葉に内心戸惑いながら健一郎言い聞かせるように言った

「はあ・・そうですか?」

「ああ・・眼鏡も似合ってるしな・・」

「はい・・」

「まあ・・一人の参考意見や・・じゃあな・・廊下は走るなよ」

「はい・・ありがとうございます」

立ち去る健一郎に頭を下げながら答えると

「やった・・星野先輩と話した・・」

小さく拳を握り階段を下りていく

教室に入った健一郎を見つけて涼真が「大丈夫か?」声を掛けてきた

「あ?ああ・」短く答える「そうか・・」

椅子に座ると健一郎は「けっこう可愛かったな・・」

小さく呟きながら『ああいうの好みやな・・・』心の中で呟きながら教科書をだした

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